ドーパミン(快楽物質)を制する者|期待⇒執着⇒依存⇒搾取への道標
快楽物質の流れを理解する: 期待、執着、依存、そして搾取への道
執着や依存は、ネガティブな言葉として認識されていることが多いですね。
あなたはどう感じていますか?
多くの人は、「執着や依存はしていないけれど、期待はしているよ!」と言うかもしれません。実際、この感覚は非常に一般的で、ジンバブエの人口を超えるほどの人々が感じているので、このトピックについて考察する価値があります。
期待はポジティブな言葉と感じていますか?しかし、実は期待の先に執着と依存が潜んでいるのです。
このメカニズムを理解することで、恋愛やビジネスにおいて搾取される側から、搾取する側に立つことができるようになるだけでなく、搾取から身を守ることも可能になります。
この記事を通じて、快楽物質のメカニズムを理解し、搾取される人生から脱却するための知識を獲得できるでしょう。さあ、今回も学びの旅に一緒に出かけましょう。
執着の始まり: ワクワクを追い求める心理
期待12は、簡単に言えばワクワク感そのものです。この感覚だけで、人は幸せを感じることができます。
人はこの幸せを再び感じたくなり、ワクワク感を求めて行動します。(学習が起こり、脳が変化します。)
脳がワクワクする事柄を覚えてしまうと、同じ事を繰り返し行うようになります。
これは、新しいワクワクを探すよりも簡単だからです。そして、その特定のモノ(ワクワク)に執着し始めます。3
しかし、同じことを繰り返すうちに、慣れてしまい、ワクワク感が薄れてしまいます。
ワクワク感を取り戻そうと、さらにそのモノを求めるようになります。そして、そのモノからしかワクワク感を得られないと、脳が誤って判断してしまいます。4
これが依存の始まりです。
搾取と資本主義: 無意識から意識へ
ワクワク感の正体は、実はドーパミンという快楽物質によるものです。例えば、悟空のように「おら、ワクワクすっぞ!」と声に出して言うと、本当にワクワク感が湧いてくるのは不思議ですね。
塾長自身、嫌な仕事が振られたときにはこのフレーズを使っています。(本当です!)
詳しく知りたい方は、幸せホルモン三姉妹という記事で詳しく解説しているので、時間があれば是非ご覧ください。
ちょっとしたくせ者で、オキシトシンやセロトニンとは異なり
依存の状態に至る可能性があります。
しかし、これは人類の長い歴史を通じて、遺伝子が生き残りを選んだ結果です。
生物としての進化よりも、生活環境の変化に伴い、求められるスキルが変わってきています。
結果として、このメカニズムに気付いた人が搾取を行い、気付かない人が搾取される、という現代社会の構造が確立されてしまいました。
資本主義経済の中で、これまでは無意識に行われていたこれらの動きが、現在では脳科学や行動心理学の進歩により科学的に解明されつつあります。
例えば、IT界の巨星、スティーブ・ジョブズは自身の子供にはiPhoneを与えないと公言していました。
期待という感情は…
チラリズムと期待: ドーパミンの影響
期待というのは、何かが起こることを心待ちにしている状態を指します。
多くの場合、期待するというのは良いことが起きるのを待っていることを意味します。待ち望んでいるわけですから、当然のことかもしれませんね。
ちょっと変わった例えで申し訳ありませんが、チラリズムと期待は似たようなメカニズムが働いています。
期待のピークは、その結果が手の届くところまで来ている、
でもまだ手に入れていない瞬間に、最も多く放出されます。
この特性は、良い面と悪い面の両方を持っています。
脳はこの快楽物質を放出することで、私たちをその物事に向かわせますが、期待した結果が実現しなくても放出されてしまうのです。これは、結果が出なくても気持ちが良い、ということを意味します。
また、チラリズムの話に戻ると、同じチラリズム好きの中でも、チラから見えたときに興奮するタイプと、見えるまでの過程で興奮するタイプがいることがわかりました。(これは、実際に私の同僚へのインタビューで明らかになりました。)
圧倒的に多かったのは、見えたときに興奮するタイプでしたが、
見える直前まで興奮するタイプも少なからずいました。
しかし、これは0から100で決まるものではなく、どの瞬間に最高潮に達するかという話です。それが見えたときなのか、見える寸前なのか、それが問題なのです。
ちょっとしょーもない喩えを使いましたが、ご愛嬌ということで。
依存の始まり: さらなる高揚感を求めて
このワクワク感という快楽は、人々の興味や関心を引きつける力を持っています。
ビジネスの世界では、この感覚をどれだけ創り出せるかが、成功の秘訣と言えるでしょう。
しかし、この感覚は耐性が生まれる性質を持っています。言い換えれば、人々は慣れてしまうのです。
そして、さらに強いワクワク感を求めてしまいます。
特に、初めて経験することに対しては、この感覚は強力に現れます。
私自身、バンジージャンプを2回体験したことがあります。1回目は非常に高い高揚感を感じ、その日は興奮が収まらなかったため、無敵感のようなものが1週間程度続きました。
しかし、2回目は再びその高揚感を味わおうと挑戦しましたが、感じたのはわずかで、興奮はすぐに収まってしまいました。
私のバンジー体験はそこで終わりましたが、これにはまってしまう人は少なくないのです。
執着のメカニズム: 脳の誤認とその影響
執着という言葉は、「ある物事に強く引かれ、深く思い込んでどうしても忘れられない状態」を指すと定義されています。
しかし、この言葉は元々仏教の用語で、「仏教の修行において障害となる心の働き」という意味があります。
現代の解釈としては、言葉の意味だけを見れば、一つの事を熱心に追求するようなニュアンスも持っています。しかし、仏教での解釈が示すように、執着は手放さなければならないものに対して、手放せない状態を指します。
物事について考えれば考えるほど、それが頭から離れなくなります。それは、忘れたいと思えば思うほど。面白いことに、脳はその物事が好きか嫌いかを判断せず、ただ頻繁に考えているだけで好きだと誤解してしまいます。
例えば、異性から好意を寄せられると、今まで気にも留めていなかったその人が気になり始め、逆に好意を抱くようになる現象があります。まさにそれが頻繁に考えているだけで、ということなのである。
つまり、先に述べたワクワク感を何度も経験するうちに、脳は誤解を生じ、結果として執着につながってしまうのです。
依存症の誕生: 自制の喪失
依存は、「特定の何かに心を奪われ、『やめたくても、やめられない』状態に陥ること」と定義されます。
これまでの段階で、(快楽)の誘惑にただ従って自制を放棄してしまうと、依存の道を歩み始めることになります。
依存が依存症とも言われるのは、「やめたくても、やめられない」という状態が生じるからです。
しかし、執着とは異なり、依存は脳の変化を伴います。
この段階になると、意識的にはその行動が良くないことを理解していても、潜在意識がその行動を求めてしまい、抜け出すことができなくなります。
これはまさに、病気のような状態です。
職場でのギャンブル依存の実例
依存症は、脳の回路が変化し、自身の意思だけではコントロールできない状態を指します。
私の職場でも、過去10年で5人が業務上の横領により解雇されています。
全てのケースで原因はパチンコ、つまりギャンブル依存でした。
最近の横領者は年下だったので、インタビューを行ったところ、「頭では分かっているが、止められない」と語っていました。
これは、条件反射のような行動原理に似ていますが、異なる点は、依存対象が最優先になってしまうことです。
大脳辺縁系の影響により、倫理や法律の理解が欠け、本来大切であるはずのパートナー、仕事、家庭さえもギャンブルに置き換えてしまいます。
過去にこんな実験がありました。ラットの脳の報酬系に電極を埋め込み、ボタンを押すと電流が流れ報酬系が刺激される仕組みを作りました。
結果は驚愕的で、ラットは一心不乱に、まるで狂ったようにボタンを押し続けました。
死ぬまで。。。
これほどまでに、快楽は強力なものなのです。
- 脳の不思議なしくみ「報酬系」とは?スマホ依存症の仕組みとは?
- 報酬系 – Wikipedia
- 依存症は脳の働き「報酬系」の変化——ではきっかけとなる …
- 依存症が作られる脳のメカニズム – すなおクリニック Q&A
幸せな消費者: 自分の意志で選択する重要性
ほとんどの場合、全てはドーパミンを利用していると言えるかもしれません。
大手企業では、この事実を理解して研究を行い、専門のスタッフを配置して宣伝活動や商品開発を進めています。
私達、個人間で知ってか知らずかこれを狙っています。
無意識のうちにコントロールされて物を買わされるのではなく、同じアイテムを選ぶ場合でも、自分の意志で選択し、幸せな人生を送ることが重要です。
脳の変化と幻の幸福: 消費者の誤解
人間の行動原理は、科学の進歩により、一定の程度まで操作可能になってきました。これは、大企業のマーケティング戦略にも取り入れられています。美化されれば、報酬は相手に幸せをもたらす対価である、と言えます。
報酬と商品・サービス、そして幸福感の間には相互の関連があります。
私たちは、無意識のうちに商品やサービスを得るために代金を支払っていますが、本質的には、これらの商品やサービスを通じて幸福を追求しているのです。
しかし、企業は商品やサービスを販売しなければなりません。
ここで、登場します。この物質を刺激するような商品を開発すれば、依存に近い状態を作り出すことが可能となります。
さらに悪いことに、脳が変化してしまい、幻の幸福を自分が求めるものと信じ込まされてしまうのです。
無料の幻惑: 時間とリソースの奪取
スマートフォンゲーム・アプリ
30年前、ファミコンのカセットは一つ約1万円でした。
誕生日に一つ選び、それ一本で何時間も楽しんだ記憶があります。
しかし今、ビデオゲームの概念が変わり、基本プレイは無料で、ゲーム内課金が主流となっています。
かつては時間をかけてアイテムを集めていたのが、今ではガチャに置き換わっています。
このガチャシステムは非常に巧妙です。
課金すれば良いアイテムが手に入る可能性が高まる、これは期待からの執着を生み出しています。まさに、ギャンブルと同じメカニズムです。
そして、ログインボーナスでゲームを習慣化し、高確率ガチャキャンペーンでユーザーの注意を引き続けます。
ゲームは、ユーザーの脳内リソースをどれだけ奪い、アプリに釘付けにするかを競っています。
本質的には、面白いコンテンツを提供するよりも、どれだけユーザーの時間を奪えるかが重要になっています。
時間が奪われることは、人的リソースが奪われることと同義であり、無料と思っていたものが実は無料ではない、という事実に繋がります。
糖分依存の根本原因
食は生存に不可欠であり、本能的にも影響を受ける分野であるため、より注意深く取り組むべきです。
現代の食品の中でも、特に加工食品や超加工食品は、多くの添加物が使用されていて、注意が必要です。
化学調味料には、脳を強烈に刺激する成分が含まれており、食品に気づかないうちに依存してしまうこともあります。
世界で最も販売されているファストフード店も、強烈な支持を受けている一方で、食べない人もいるのはお馴染みの話です。
糖分も依存の要因の一つです。
もともと、狩猟採集時代には糖分はなかなか手に入らなかったため、その名残で今でも糖分を欲する体質が残っています。
現代でもその名残が見られ、肥満率が高い地域では昔から糖質が少なかったことが影響しています。例えば、狩猟採集時代に糖質が少ない地域で生活していた人々は、少ない糖質を効率よく摂取するためにインスリンの分泌が多かった。逆に、我々日本人はインスリンの分泌量が欧米人に比べて少ない。
(インスリンは摂取した糖質を体内に取り込む役割を果たします。)
現代において、食文化が似てきたため、アメリカでは肥満が社会問題にまで発展しています。
日本人とアメリカ人の太り方の違いは、インスリンの働きの強さに起因しています。
話を戻して、糖分は昔は貴重で必要な栄養素であり、摂取することにモチベーションをもたせるために、摂取するとドーパミンが放出されるように脳がプログラムされています。このため、甘党となる人が多いのかもしれません。
私の経験でも、しばらく甘いものを避けていた時期がありましたが、久々に食べたら毎日同じ時間に食べたくなってしまいました。
実際、この衝動には私も驚きました。食べ終わった後は、「明日からはやめよう」と心に誓っても、今日もコンビニでソフトクリームを買ってしまいました。
お腹が減っていたわけでもないのです。
私がメカニズムを理解していても負けてしまうのであれば、無意識の人たちはどれだけ影響を受けているのか、想像がつきます。
ダイエットに失敗する主な理由は、このメカニズムにあると私は考えています。
また、本来は糖分を添加しなくても美味しい食品であっても、糖質の依存効果を得るために、あえて糖分を添加し、塩でバランスを取る手法もあるようです。これも注意が必要です。
自然な人たらし: 褒める技術の心理学
人に褒められると、報酬としての快感をもたらします。
これが、人々が再び褒められたいと思い、努力を続ける動機となります。褒めて伸ばす教育法や、「私は褒められて伸びるタイプです」と自認する人も、この効果を表しています。
では、なぜ人は他人を褒めるのでしょうか?それは単純に、相手が期待通りの行動をとってくれた時に感じる満足感からです。
褒める行為は、言い換えれば、相手の快楽物質を放出させて行動をコントロールする手段になります。自然に他人を褒める能力を持っている人は、一種の人たらしと言えるかもしれません。
この原理は決して悪いものではありませんが、知識を持っている人がこれを悪用すると、問題が生じる可能性があることは理解できるでしょう。それが、この原理のダークサイドなのです。
その他の依存症
その他と書いたが、代表的な依存症である。
規約により、私から語れない部分が大いにあるので
詳しくは「依存症対策全国センターHP」で見聞をお広めくださいませ。
あしからず。
“自分の軸で判断する: 誘惑を乗り越えて”
これまでの議論ではネガティブな側面を強調してきましたが、基本的にはポジティブな役割を果たします。
このホルモンは私たちに幸福を感じさせ、意欲を刺激します。集中力を高め、積極的な行動を促進する力も持っています。それが「報酬系」と呼ばれる所以です。ドーパミンの力で、人は目標を設定し、それを達成する意欲を持つのです。
しかし、放出のタイミングは、目標を達成した時ではなく、達成しそうな瞬間に最も高まります。
この事実を利用してくる人たちもいるため、自分の価値観をしっかり持ち、良い判断を下すことが重要です。搾取されることなく、自分の意志で選択をすることが大切です。
問題なのは、その商品やサービスを得ること自体ではなく、実際には必要ではないものをコントロールされ、必要だと思い込まされている点です。
多くの人は、自分の選択だと思い込んでいるため、この現実を認識するのは困難です。だからこそ、日々意識を持って生活し、自分自身の選択をしっかりと評価する必要があるのです。
おさらい
- 信頼の心理学:この記事では、期待と信頼の違いについて詳しく説明しています。期待は裏切られる可能性があり、依存心を生み出す一方で、信頼は愛の表現であり、裏切り自体が存在しなくなると述べています。 ↩︎
- 期待の心理学:この記事では、期待が「ものごとはこうあるべき」というイメージを生み出し、それがストレスを生む原因になることを説明しています。また、期待が強いほど、自分自身だけでなく他者に対する期待も強くなり、それが問題や対人関係のトラブルの原因になることも指摘しています。 ↩︎
- 期待とは依存であり執着である:この記事では、期待が強くなるほど、それが依存から執着に変わることを説明しています。 ↩︎
- 期待、依存、嫉妬:この記事では、期待と依存が密接な関係にあり、依存が期待を増大させることを述べています。 ↩︎